僕は昭和生まれの田舎町育ちのため、町に「コンビニ」というものがやってきたのは物心ついてから(たしか小学校の高学年くらい)でした。
そこで「コンビニおにぎり」に出会ったときの衝撃は、いまだに覚えています。
なんせ、おにぎりの具といえば、鮭・梅干し・おかか…くらいしか概念がなかった時代。そこに突如として「ツナマヨ」なるものがラインナップにあったのですから。
斬新すぎて悪ふざけかと思うほどで、第一印象はビックリというよりも「気持ち悪い」という感じでした。
「ぜったいおいしくないでしょ」と思ったのですが…。
物は試しと食べてみれば、これがおいしかったんですよね。
サンドイッチの具のイメージしかなかったツナマヨは、驚くべきことにご飯にも合う。パリパリした海苔のおにぎりというのも新鮮で、「おにぎりにこんな可能性があったとは…!」と、大きな衝撃を受けました。
そして、数十年の時を経て…。
ツナマヨおにぎりは完全に「定番」となりました。どこのコンビニにもありますし、おそらく人気度もトップ3には入るのではないでしょうか。
ツナマヨ以降はコンビニおにぎりの多様性も一気に開花し、煮卵、唐揚げ、スパムなどなど…。現在において「おにぎりの具に制限はない」と言っても過言ではないでしょう。
コンビニおにぎりは、多くの日本人に「おにぎりの可能性」を気付かせてくれたと思います。
そして、餃子もこれと似ているのではないか…?と思うのです。
一昔前までは、餃子といえば「いわゆる普通の焼き餃子」しかありませんでした。つけダレも、定番の「酢醤油+ラー油」のみ。
しかし現在、餃子のバリエーションはかなり増えました。餃子専門店のメニューには、チーズ・しそ・パクチーなどのバリエーションが並び、自宅で作る際のアレンジレシピも無数にあります。
さらにタレのバリエーションも、今や数えきれないほど。ここ数年で一気に普及した「酢コショウ」を始めとして、ポン酢・みそダレ・食べるラー油・柚子胡椒・ナンプラー・ハリッサ(チュニジア生まれの調味料)…などなど。
餡の中身×調理法(焼き餃子・水餃子・揚げ餃子等)×つけダレ…という組み合わせパターンを考えるだけでも、その数はとてつもないことになるでしょう。
まさしく、おにぎりと同じような可能性が広がっています。
おにぎりは日本人にとってのソウルフードですが、餃子もまた、おにぎりに勝るとも劣らない可能性がある。
『日々是餃子』編集部は、これからもこの可能性にワクワクしながら、餃子の魅力を追求していきたいと思うのです。