タイトルと画像のとおりです。
焼き餃子を食べる際において、これを経験したことがない人はいないでしょう。
一般的な中華料理店などにおいて、焼き餃子は5〜6個が横一列に並んだ状態で提供されることがほとんどです。
客はこの並んだ餃子を1個ずつ食べるわけですが…。箸で1個を取ろうとしても、隣の餃子と強固にくっついている場合があるんですよね。
なるべくそーっと、繊細な力加減で「餃子剥がし」に取り掛かっても、結局のところ皮が破れてしまう。こんな経験は誰しもあるのではないでしょうか。
決して、無理やり剥がそうとしているわけではないのです。お箸の国で生まれ育った人間としての誇りをかけて、箸先に細心の注意を払い、箸の「しなり具合」まで計算したうえで力を配分しても、皮が破れてしまう。
もう物理的に、皮の強度よりも固着部の強度の方が強い。どうやったって破れる。残念ながら、そんな餃子はあります。
この状況における「がっかり度」は、食卓のさまざまな「がっかり度」の中でもトップクラスではなかろうかと思います。
これに似たようながっかりネタとして「ケーキを食べ進んでいくうちに倒れる」というのがありますが、餃子破損におけるがっかり度はその比ではないでしょう。ケーキは倒れたとしても味覚的な損失はほとんどありませんが、餃子は破損すると肉汁が失われるのですから。
これが小籠包だと、最初から「肉汁があふれ出す前提」でレンゲと共に提供されますが、焼き餃子はそうはいきません。そもそも餃子は数個がくっついた状態ですから、レンゲがあったとしても乗りません。皿の上に流れていく肉汁を、眺めるしかないのです。
皮が破れ、肉汁が失われていくときの光景は「ちょっとしたトラウマになる」と言っても過言ではないでしょう(いや、さすがにそれは過言か)
餃子がくっついているときは「タレを上からかけてふやかす」といった方法で剥がせる可能性もありますが、それをしたところで100%剥がせるわけでもないし、せっかくパリッと焼き上がった餃子をタレに浸してしまっていいものかという葛藤があります。
つまり、餃子の固着は「解決法のない問題」なのです。しかし現実として、そんな餃子は多々ある。ではどうしたらいいのでしょう。
僕としてはもう「気にしない・諦める」という対策しかないように思います。
そもそも世の中は「肉汁、肉汁」と言い過ぎなのではないか。肉汁さえあればいいのか、と。
餃子のおいしさは、肉汁だけに終始するわけではありません。焼き目の香ばしさ、餡の味わい、そしてタレ。さまざまな要素が組み合わさってのおいしさなわけですから、肉汁だけに一喜一憂してもしょうがないじゃないか、と。
そんな境地に至ってからは、皮が破れてしまってもさほど気にならなくなったのですが…。
1個1個をくっつけない状態で焼いてくれるお店や、隣り合っていても箸で容易に剥がせる「餃子離れ」が良いお店だと、ほっとしてしまうのも事実なのですよねぇ。