パリッとジューシーな焼き餃子、その二大巨頭
「冷凍餃子(焼き餃子)の定番」といえば、味の素と大阪王将です。どんなスーパーにも売っている商品ですし、これらが冷凍餃子界を牽引するツートップだというのは間違いありません。どちらか、あるいは両方を食べたことがある人も多いことでしょう。
しかし、これらの商品について「どこがどう違うのか」を詳しく語れる人となると、かなり少ないのではないでしょうか。
そこで『日々是餃子』編集部は、比較試食会を開催することにしました!
集まったのは、編集部スタッフ+餃子好きな仲間たち。総勢8名です。
比較する2つの商品を紹介
過去に何度も食べたことがある商品ですし、「両方ともおいしい」ということはわかっているのですが…。編集部スタッフも「具体的にどう違うのか」まではよくわかっていません。
まずは、それぞれの商品スペックをチェックするところから始めてみましょう。
味の素 ギョーザ
【内容量】12個入り(276g) 【原材料名】野菜(キャベツ、たまねぎ、にら、にんにく)、食肉(豚肉、鶏肉)、粒状大豆たん白、豚脂、砂糖、しょうゆ、なたね油、食塩、つなぎ(粉末状大豆たん白、卵白)、風味油、オイスターソース、ごま油、香辛料、調味エキス、酵母エキス 皮(小麦粉、でん粉、なたね油、食塩、粉末状小麦たん白、粉末状大豆たん白、大豆粉) 調味料(アミノ酸等)、乳化剤、クエン酸Na、増粘剤(増粘多糖類、アルギン酸Na)、塩化Ca、カゼインNa、香辛料抽出物、(一部に小麦・卵・乳成分・ごま・大豆・鶏肉・豚肉を含む) 【栄養成分】1個(23g)あたりエネルギー 38kcalたんぱく質 1.4g脂質 2.0g炭水化物 3.7g食塩相当量 0.28gカリウム 40mgリン 15mg 【アレルギー物質】(下記のアレルギー物質が含まれています)小麦・卵・乳成分・ごま・大豆・鶏肉・豚肉 【取材時の購入価格】249円 |
大阪王将 羽根つき餃子
【内容量】12個入り(296g) 【原材料名】野菜(キャベツ、白菜)、食肉(鶏肉、豚肉)、豚脂、粒状植物性たん白、パン粉、砂糖、しょうゆ、食塩、ポークエキス調味料、ゼラチン、発酵調味料、おろしにんにく、おろししょうが、植物油脂 皮(小麦粉、植物油脂、でん粉、食塩、小麦たん白、ホエイパウダー) 加工でん粉、乳化剤、ph調整剤、増粘多糖類、安定剤(アルギン酸エステル)、グリシン、膨張剤、(一部に小麦・乳成分・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチンを含む) 【栄養成分】1個(23.3g)あたりエネルギー 36kcalたんぱく質 1.3g脂質 1.9g炭水化物 3.5g食塩相当量 0.2g 【アレルギー物質】(下記のアレルギー物質が含まれています)小麦・乳成分・ごま・大豆・鶏肉・豚肉・ゼラチン 【取材時の購入価格】198円 |
原材料を比較するだけでも意外と違う…!
まずチェックしてみたのが、パッケージの原材料表示。普段だったらほとんど見ない部分ですが、これをじっくり観察してみると…。けっこう違っているではないですか!
味の素 | 大阪王将 | |
具 | 野菜(キャベツ、たまねぎ、にら、にんにく)、食肉(豚肉、鶏肉)、粒状大豆たん白、豚脂、砂糖、しょうゆ、なたね油、食塩、つなぎ(粉末状大豆たん白、卵白)、風味油、オイスターソース、ごま油、香辛料、調味エキス、酵母エキス | 野菜(キャベツ、白菜)、食肉(鶏肉、豚肉)、豚脂、粒状植物性たん白、パン粉、砂糖、しょうゆ、食塩、ポークエキス調味料、ゼラチン、発酵調味料、おろしにんにく、おろししょうが、植物油脂 |
皮 | 小麦粉、でん粉、なたね油、食塩、粉末状小麦たん白、粉末状大豆たん白、大豆粉 | 小麦粉、植物油脂、でん粉、食塩、小麦たん白、ホエイパウダー |
両者とも具材としてキャベツ、鶏肉、豚肉を使っているのは共通ですが、味の素はたまねぎとにらも使っているのが特徴。
対して大阪王将は、キャベツ・白菜のみ。
その他の違いとしては、味の素はオイスターソースとごま油、大阪王将はゼラチンとおろししょうがを使っているという特徴があります。
原材料の違いをあえて一言で言うなら、味の素はいろいろ入ってる、大阪王将はシンプルという違いがありそうです。
焼く前の状態を比べてみると…向きが違う?
パッケージの中は、どちらも半透明なトレーに縦4個×3列(計12個)で餃子が並んでいます。1個あたりの大きさもほぼ同じと言っていいでしょう。
ただ、餃子の向き(?)が違っていました。これって何か意味があるのでしょうか…?
ちょっとおもしろいですね。
味の素は、トレーを引き出すとご覧のような向きで餃子が並んでいます。
対して大阪王将は、味の素とは逆向き。特にどちらの方がいいという感覚はありませんが、おもしろい違いでした。
それぞれ、トレーからは1個単位で簡単に取り出すことができます。写真を見ればわかるとおり、1個あたりの大きさはほぼ同じで、横幅は約6.5cmでした。
ただ大阪王将の方は、商品名に「羽根つき」という言葉が入っているとおり、「羽根のもと」となる液体ごと凍っている状態。はたして焼きあがったときの大きさに違いはあるのでしょうか。気になるところです。
調理方法はフタの有無に違いあり!
調理方法はどちらもほぼ同じではあるのですが、メーカー公式の作り方としては「フタの有無」という違いがありました。
味の素の方は調理中にフタをするように指示が書いてありますが、大阪王将はなんと「フタ必要なし」となっています。
餃子を手作りする場合だと「フライパンに油を敷き、途中で水を加えてフタをする」という作業が必須なので、「油・水・フタ必要なし」と言われてもなんだか不安になってしまいますが、これが最近の冷凍餃子のスゴいところですね。
今回はこの「メーカー公式」の手順で焼いてみました。
味の素の場合
- 凍ったままの餃子をフライパンに並べ、火をつける(油・水は必要なし)
- フタをして中火で約5分蒸し焼きにする
- フタを取り、羽根全体に焼き目がつくまで調整しながら焼く
大阪王将の場合
- 凍ったままの餃子をフライパンに並べ、火をつける(油・水・フタは必要なし)
- そのままフタをせず中火で約5分焼く
- 中火のまま餃子の周りがキツネ色になるまで焼く
焼き上がりは「羽根の大きさ」が違う!
どちらも、約5分+焼き色をつけるための数分で、調理完了です。
まずは焼き上がり姿(?)をじっくりとご覧ください。
上が味の素、下が大阪王将です。
どちらも餃子の周囲にパリッとした羽根がつきますが、大阪王将は商品名が「羽根つき餃子」というだけあって、焼いた餃子全体を覆うような羽根がつきます。
ちなみに大阪王将は「羽根のもと」になる液体ごと凍った状態でしたが、焼きあがったときの大きさにはほぼ違いはありませんでした。
羽根のあるなしは人によって好みは分かれると思いますが、どちらも食欲をそそる、いい焼き色ですね!
切ってみると、大阪王将の方が「野菜感」強めかも
おいしそうに焼けたところで、さっそく試食班のメンバーは実食開始となったわけですが(レポートは後ほど紹介)、撮影班としては「中身」にどのような違いがあるのか、視覚的にも確認しておきたいところ。
焼けた餃子をそれぞれ1個取って、半分に切ってみました。
上が味の素、下が大阪王将です。
味の素はキャベツ・白菜以外にも玉ねぎ・にらが入っているのに比べて、大阪王将の野菜はキャベツと白菜のみ。その2種類に絞られているせいか、大阪王将の方が見た目としては「野菜感」がありますね。
この野菜感は、もちろん味の違いとしても感じることができました。
いよいよ実食…!
…というわけで、いよいよ実食。焼きあがったところですかさず、試食班が味わいます。
ちなみに今回は「味の素→大阪王将→味の素→大阪王将」という順番で同じものを2回調理して、「2つの商品の比較」という観点を重視して採点しています。
今回、『日々是餃子』編集部は以下の項目についてチェックしました。
- 皮の食感(薄めで歯切れよい/厚めでモチモチ)
- 味の濃さ(あっさり/ガッツリ)
- ジューシー感(少なめ/多め)
- 風味(ニンニク・ニラの香り薄め/ニンニク・ニラの香り強め)
- 具のバランス(野菜感多め/肉感多め)
味の素=ガッツリ系、大阪王将=さっぱり系という図式か
人によって感じ方には個人差があるものの、まずは全員の評価を平均して視覚化してみましょう。これだけでも、両商品の違いがはっきりと見えてきました。
星の位置を見ればわかるとおり、どちらかといえば味の素は「味の濃いガッツリ系」、大阪王将は「あっさりさっぱり系」という傾向がありました。
皮の食感に関してはどちらも真ん中寄りとなりましたが、味の素はそれ以外の項目すべてで右寄り。一方、大阪王将は真ん中~左寄りといったポジショニングです。
味の素はしっかりとした味わいなので、ご飯のおかずからお酒のつまみまで、万人がおいしく感じる味。大阪王将も万人受けする味なのは同様ですが、あっさりした味や野菜感を好む人には大阪王将の方がおすすめ、といったイメージでしょうか。
ちなみに大阪王将は、商品に「タレ」が付属しています。
つまり大阪王将は、この付属タレを使うことを前提として味がまとめられている可能性はありますね。一方の味の素は、餃子そのものにしっかりめの味がついているので、タレをつけずに食べてもおいしいし、「酢コショウ」のようなさっぱりタレにもよく合います。
各スタッフの採点表とコメント
平均を取ると上のような結果となりましたが、もちろん各スタッフの印象には個人差もあり、バラつきがある項目もあります。いくつかのコメントとともに紹介しましょう。
味の素
味の濃さやジューシー感、風味のガッツリ感に関してはスタッフ全員が高めの評価をしており、ほぼ共通した印象と言っていいでしょう。
- 味の素調味料の旨みあり(スタッフH)
- 羽根もおいしい(スタッフA)
- 餡に味がしっかりついていてタレなしでもおいしい(スタッフK)
- 酢コショウとの相性がよい(スタッフO)
- 羽根に味がある。羽根でふりかけできそう(スタッフZ)
- 安定に美味しい(スタッフD)
S(〇歳・女) | H(〇歳・女) | A(〇歳・男) | K(〇歳・男) | O(〇歳・男) | Z(〇歳・女) | D(〇歳・女) | |
皮の食感(1が薄め・5が厚め) | 2 | 2 | 2 | 3 | 2 | 3 | 3 |
味の濃さ(1があっさり・5がガッツリ) | 4 | 4 | 3 | 4 | 4 | 4 | 4 |
ジューシー感(1が少なめ・5が多め) | 4 | 3 | 4 | 3 | 5 | 4 | 3 |
風味(1が薄め・5が多め) | 4 | 4 | 3 | 3 | 4 | 4 | 4 |
具のバランス(1が野菜感多め・5が肉感多め | 3 | 4 | 4 | 4 | 4 | 2 | 5 |
大阪王将
大阪王将は少々評価にバラつきがあります。皮の食感、ジューシー感などはスタッフによって印象がまったく違う結果となりました。
ただいずれにせよ「味や風味はあっさりめ」という部分では共通しています。あっさり系、野菜感強めの餃子が好きな人や、タレをいろいろ工夫して楽しみたい人には大阪王将が向いているかもしれません。
- 小麦の甘さを感じる(スタッフH)
- 意外とあっさり(スタッフA)
- 王将のタレをつけると味がしっかりしてご飯に合いそう(スタッフK)
- 羽根がパリパリ(スタッフO)
- 羽にパンみたいな香ばしさがある(スタッフZ)
- 味の素と比較してハイボールに合う(スタッフD)
S(〇歳・女) | H(〇歳・女) | A(〇歳・男) | K(〇歳・男) | O(〇歳・男) | Z(〇歳・女) | D(〇歳・女) | |
皮の食感(1が薄め・5が厚め) | 4 | 4 | 3 | 2 | 3 | 1 | 1 |
味の濃さ(1があっさり・5がガッツリ) | 2 | 2 | 3 | 3 | 3 | 3 | 2 |
ジューシー感(1が少なめ・5が多め) | 3 | 2 | 3 | 4 | 2 | 2 | 5 |
風味(1が薄め・5が多め) | 2 | 2 | 3 | 2 | 3 | 3 | 2 |
具のバランス(1が野菜感多め・5が肉感多め | 2 | 2 | 3 | 2 | 2 | 3 | 4 |
まとめ
おそらく日本中のスーパーで売っているであろう、味の素と大阪王将の冷凍餃子。
今回の試食会によって、どちらかといえば「味の素は味が濃いめ・大阪王将はあっさりめ」という違いがあることがわかりましたが、それと同時に「餃子の奥深さ」もまた感じることができました。
味の素はしっかりとした味付けが印象的でしたが、だからこそ酢コショウのようなさっぱりダレとの相性もばっちりでした。また大阪王将のあっさりした餃子は、濃厚なつけダレと合わせてもおいしいはず。
「濃いめ × 濃いめ」「濃いめ × あっさりめ」
「あっさりめ × 濃いめ」「あっさりめ × あっさりめ」
…と、餃子とタレの組み合わせによってさまざまな味わいを楽しむことができるでしょう。
さらに、これに合うお酒としてビール・ハイボール・レモンサワー…などを考えていくと、餃子の世界には無限の広がりがあります。
味の素と大阪王将の冷凍餃子は、お手軽であるだけでなく、「餃子の魅力」を楽しむことのできる信頼のツートップであることは間違いありません。皆さまも、今日の気分によって両ブランドを使い分けてみてはいかがでしょうか?
(水餃子編はこちら:ぷるぷる・もちもちの水餃子を徹底比較!味の素と大阪王将を食べ比べ)