餃子のつけダレとして、酢は欠かすことができません。
しかし、ひと口に「酢」といってもさまざまな種類があります。「餃子にはいったいどんな酢が合うのか?」という疑問を解決するため、かつて日々是餃子編集部では、穀物酢・純米酢・黒酢の3種類を使ってみる企画をやりました。
それぞれ味わいに違いがあり「酢を使い分ける楽しさ」に気付くことができたのですが…。言うまでもなく、酢の種類はこれだけではありません。ミツカンの商品ラインナップを見ても、酢は他にも何種類もあります。
それぞれ、餃子との相性はどうなのでしょうか…?
今回、日々是餃子編集部は、ミツカン酢のラインナップの中でももっとも贅沢な逸品だと思われる「三ツ判 山吹」という商品に注目しました。
「三ツ判 山吹」とは?
ラベルを見ればわかるとおり、この酢は「粕酢」という種類のもので、文字通り酒粕を原料として作られたものです。
原材料表示を見ても、記載されているのは「酒かす」のみ。
スーパーなどで一般的に売っているものではないので、初めて知ったという人も多いかもしれませんが、実はミツカンの酢はこの「粕酢」から始まっているのだとか(ラベルにも「創業の逸品」との言葉があります)
さらにラベルを読んでみると、こんなことが書いてあります。
- 贅を尽くしたお酢
- 江戸時代からの伝統製法でつくられている
- 芳醇でまろやかな味わい
- お酢に充分なうまみがあるので、砂糖、塩、しょうゆはひかえめに
これらの説明を読むだけで「高級なお酢だ」というのはわかるのではないでしょうか。
ただ、たしかに高級ですが「目が飛び出るほど高い」ということでもなく、写真の500ml入りの値段は1,031円でした。同社の黒酢よりも少し高いといった位置づけです。
ミツカン創業の逸品がこの値段で買えるなら、ぜひとも味わってみたい!
というわけで、餃子のつけダレとして、この粕酢を使ってみることにしたのです。一般的に粕酢は江戸前寿司の寿司酢として使われているそうなので、「そんな高級酢を餃子に使っていいの…?」という気がしないでもないですが、それもまた実験です。
さっそく味わってみましょう!
比較対象は黒酢
粕酢単体で味わうよりも、比較対象があった方がよりわかりやすいと思い、同じミツカンの「純玄米 黒酢」を用意しました。
ちなみにこの黒酢は500mlで963円なので、値段を考えるとこちらもなかなか高級酢です。
両方とも黒というか飴色というか、そんな色合いが特徴ですね。どちらかといえば、粕酢の方が少し色が濃いでしょうか。
まずは「酢だけ」を餃子につけて味わってみます。
あくまでも僕(ライターsaito)の感想ではありますが、以下のように感じました。
まず、黒酢も粕酢も、似たような味わいがあるのは共通していると思います。どちらも酸っぱさがツンと来ないまろやかさがあり、独特の香りと旨味があります。
ただ酸っぱさ自体を比較してみると、僕としては「粕酢の方がわずかに酸っぱい気がするかも…」と感じました。
続いて香りについてですが、粕酢は、やはり遠くの方に酒粕の香りを感じます。香り自体に高貴な感じが漂い、決してインパクトのある主張の強い香りではありません。
一方、黒酢は粕酢よりも少し香りの質が強めかもしれないと感じました。お酒に例えるならば、粕酢はまさしく日本酒で、黒酢は泡盛のようなイメージでしょうか。
そして気になる味わいについてですが、これはラベルの解説どおり「酢そのもの」にうまみがありますね。普通に考えると餃子のつけダレとして「酢だけ」というのは物足りなく感じそうですが、まったくそんなことはありませんでした。
念のため、餃子のつけダレとして一般的な「酢醤油+ラー油」と、酢コショウも試してみたのですが…。
どちらも「悪くはないんだけど、なんだかもったいない感じもするな…」という気がしました。酢の香りよりもラー油やコショウの香りの方を強く感じてしまうので、一般庶民としてはどうしても「もったいない」という意識が生まれてしまいます。
酢だけのタレでこれだけのリッチ感を味わえるのは、まさしく粕酢ならではでしょう。
まとめ
やはり「餃子に合う酢」の世界はとても奥深いなと思います。
粕酢の味や香りには繊細なところもある気がしたので、素材の味をしっかりと感じられるさっぱりめの野菜餃子に合うような気がしました。
一方で、ニンニクががっつりと効いているようなパンチのある餃子には、すっきりとした穀物酢のつけダレが合う気がします。
餃子のタイプによって酢を使い分けるというのも、餃子の楽しみ方の一つ。
この記事を見て、もし粕酢が気になったのなら、ネット販売等で買ってみてはいかがでしょうか(残念ながらスーパーなどではまず見かけません)。普段の餃子を一段階グレードアップしてくれること間違いなしです。